消え行く年金通り①

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ちょっと前の話ですが、お向かいの「咲笑」(さえ)が年末に移転しました。このバラック小屋(そりゃぁ言い過ぎ?バラックってことはないですが。)ももうじき取り壊しになります。
同じ建物の中に入っている「Peach Beach」さんは5月くらいまでで店をたたみ、建物自体が取り壊し・・・その後は駐車場になるという話なのですが、私は最後の年金通りの証人ってわけですね・・・

「咲笑」が閉まる直前くらいにPeach Beach のマスターに呼び出されて店を早閉めして「咲笑」で飲みました。
間違ってもこんなご縁がなければ私が行くようなお店ではありませんが・・・
普段は会釈とわずかな会話くらいのママさんがずいぶんと愛想良くしてくれました。おそらくは最初で最後の私たちの会話だろうと思います。

ママさんはご近所のおでん屋で30年だかの長い年月をせっせと働いてきたHさんです。まるで介護士の如く、やさしく、生真面目に、朗らかに、酔っ払いおじいたちを介抱してる姿をみかけたこともしばしばであります。

まぁ、この通りの酔っ払いおじいの酔っ払い度って、並みの酔っ払いじゃありません。そりゃ、すごいものがございます。
例1:昼真っからズボンの真ん中をずぶぬれにして歩いている70歳くらいの・・・
例2:「愛してるよ」をだれかれかまわず連発する、昼間っから目が行っちゃってる50才くらいの・・・
例3:うちの店の斜め前で倒れこんで眠り込んでる近所のおじい。そのうちおもらしもしてしまって・・・おばぁは翌日ケンジに平謝り・・・(ケンジはこのおばぁの店でタバコを買っています。)

なんて書いていくと、うちの店にいらっしゃるのを怖がられるとそれはちょっと困るのですが・・・こんな方々がうようよいるわけではありませんので、ご心配なく蘭桂坊にいらして下さいね。

それはともかく・・・そんな通りで、ママさんは、立ちションしながら崩れ折れそうになるおじいのシャツの背中を握り締めて倒れないように引っ張りあげてる姿を見たことも!
そりゃぁ・・・できませんよ、普通は・・・

何しろ年金通りは不思議な通りで、“蘭桂坊さん、何もこんなところに店を出さなくても・・・”というような通りであります。

私は「咲笑」ママとはかなり違う世界にいるとは思っておりますが、基本が飲兵衛で、こんな通りが決して嫌いな人間ではありません。何かの縁もあったはずです。ちっとも儲からない店ではありますが、なんだか私はこの通りとこの店を愛しております。

昼間、
天気の良い日、
あるいは雨の日でも、
いえいえ、どんな日であろうと、
国際通りの喧騒とは別世界の年金通り、
お客様がいらっしゃらない、
というときは一人ワイングラスにトクトクっと濃厚な赤ワインを注ぎ、少々音楽(島唄ではありません、アシカラズ。ジャズかボザノヴァが多いです。)のボリュームを上げて店で一人飲んだくれるのでありますが、これがまた幸せなわけです。(すみません、世の中の真面目に働いてる方々には申し訳ないなぁと、ちょっとは・・・ちょっとだけ・・・思っています。)

そんな幸せな時間も、この年金通りが年金通りであってこそ!なわけです。
向かいがだだっ広い駐車場でつまらない何のヘンテツもない白い車が並んでいては味気ないじゃないですか!
せめて、観察する価値のあるおもしろい車(セレブな車って意味じゃないですよ)がとまってくれればなぁ、と思うばかりであります。



ところで、Goro’s Bar も閉まっちゃいました。
また、その話は後日。
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by powermom | 2009-02-09 17:08 | ご近所と友達の輪
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